働き方改革関連銘柄、新年度相場の注目銘柄
政府は「働き方改革実現会議」を開き、同一労働同一賃金、残業時間の上限など加え働き方改革の実行計画をまとめた。難航したのは残業時間の上限を100時間未満か以内か、電通の新入社員が過労自殺したことで長時間労働には社会的な注目度が高い。Work Style Reform と海外メディアでも日本国内の働き方改革は報じられている。
ただ経済面から懸念されるのは生産性の低下、インフレターゲット未達、浮上してきた日本景気の後退などが考えられる。古き良き時代ではないが「24時間 働けますか?リゲインCM」や「企業戦士」という言葉が普通に使われてた時代からの変化となる。「ゆとり教育」は学校での学習時間が減ったおかげで結果的に学習塾へ通うことで家庭に教育費用の負担増となった。
株式投資では「働き方改革関連株」が投資テーマとして物色されそうだ、SOHO、在宅ワーク、人材派遣サービス、ファクトリーオートメーション工場自動化などには恩恵を受ける業種だろう。小売業などには人手不足と人件費負担増が重荷なる、運輸業や医師などは長時間労働と人手不足に解決策が無いまま法案だけが決まっていく感じだ。
働き方改革の実行計画のポイント
- 上限規制 残業は月45時間、年360時間が原則
- 繁忙期は年720時間、単月100時間未満、2~6カ月平均80時間が上限
- 同一労働同一賃金 不合理な待遇差を例示した指針案作成
- 指針の根拠などを盛り込んだ法改正
クラウドワークス(3900)
日本最大級のクラウドソーシング、クラウドワークスはクラウドソーシングのリーディングカンパニー、創業が浅く赤字が続いているが、2014年から2018年までの4年間で売上高は4億円から21億円に5倍以上に急成長。登録人材も国内最多クラス、販売先が純増で早期黒字化を目指す。政府も在宅ワーク、SOHOで働く人口が増加していることを考慮して、失業時や出産時の補償ができる団体を創設するように損害保険会社と計画中。
JACリクルート(2124)
人材紹介サービス業の大手、有効求人倍率も上昇傾向が続いておりJACリクルートの得意とするグローバル人材の需要逼迫も依然として続くと予想される。リクルートとJACリクルートは証券アナリストからの投資評価もかなり良く、12月5日の安値1234円から綺麗な右肩上がりの上昇で約4か月も株価上昇している。こうした株価チャートを形成するには投資信託や機関投資家の行きの長い資金で買いが続いているパターン。
同社は中期経営計画を発表しており、2019年12月期に売上高235億円、連結当期利益50億円、人材紹介コンサルタント数887名を目標に掲げている。外資系企業への転職をターゲットにした求人サイト「Career Cross」を運営する連結子会社のシー・シー・コンサルティングが黒字転換したことも連結決算に貢献している。
リクルートホールディングス(6098)
人材募集、人材メディア、人材派遣サービスなど業界大手、連結子会社は287社で構成されており一大企業グループ。中小企業向けに販促支援、求人支援が海外でも拡大。北米市場で中小企業に求人需要を取り込んでいるインディードの業績は、2016年3月期売上高83%増の843億円、2017年3月期予想は48%増、2018年3月期予想は32%増の1650億円となる見通しで高成長が続く見通し。
2016年にリクルートホールディングス株価は約33%上昇となったが、証券アナリストは投資判断「強気」が多く、目標株価引き上げやレーティング格付けの引き上げなどがよくみられる。大和証券では目標株価6000円、三菱UFJモルガン・スタンレー証券では目標株価5270円→8220円に大幅に引き上げるなど注目度が高い銘柄で人材サービス関連株として人気が続きそう。
WDBホールディングス(2475)
理学系研究職の人材派遣大手、主力の化学・バイオ向け理学系研究職派遣が順調で第3四半期決算(4月~12月期)では、連結売上高が前年同期比9%増の241億円、営業利益25%増の24億8000万円となった。通期業績予想に対して進捗率が88%となっており、業績上方修正の可能性はかなり確度が高いと業界では期待されている。専門的分野の人材に特化している事から、研究開発ニーズ、人材不足を背景に好調な業績推移が続くと思われる。
WDBホールディングスは理学系研究職において国内トップクラスで、派遣の3人に1人が同社からの派遣となっている強みがある。自己資本比率は67%超、財務基盤は強固でありROE18.9%という高水準も投資対象として遜色のない指標になっている。2016年の連結売上高実績は297億5500万円、同社は4年後の2021年に売上高1000億円を目指す積極的な成長戦略がアナリストの間で評価されているが、株式市場にはまだ浸透していないようで株価は1500円程度で推移しており評価不足との次第に広まっていくだろう。
フルキャストホールディングス(4848)
人手不足による「紹介」が好調、「代行」も増収、「マイナンバー管理」も需要増で顧客数が増加。警備業務の請負業も行っており、「シゴト(仕事)」に関する人材アウトソーシング事業に追い風。メインは短期アルバイト、人材派遣サービスだが、事務代行「マイナンバー管理代行サービス」、「給与計算代行サービス」、「年末調整・各種代行サービス」などBPOも好調。
ワールドホールディングス(2429)
連携子会社22社から構成される持株会社、主力はファクトリー事業、テクノ事業、R&D事業、セールスマーケティング事業、不動産事業、情報通信事業で構成されている。工場系求人サイトの「JOB PEPER」は登録者数が39000人を超えている。
日銀短観、雇用人員判断DIで全規模、全業種で更なる不足が見込まれており同社の人材教育ビジネスは人手不足の中で平成28年度1月移行、2468名の増加と順調に推移。不動産事業は売却による利益が大きく拡大。
ファクトリー事業はカーエレクトロニクス関連、スマートフォン関連の半導体を中心に売り上げ拡大、特に強みの物流事業は出荷量が増える繁忙期にスムーズに対応。評判のひふみ投信がワールドホールディングス株式を買い集めていることが市場関係者の間でも注目されている。
ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)ワールドHD株を6.11%大量保有
学情(2301)
大学生や若手社会人に強みを持つ就職情報、人材サービスを手掛ける。2つのWEBサイト「あさがくナビ」、「Re就活」、2つのイベント「就職博」と「転職博」が大きな集客力を持ちデータ数と企業数が多い。
WEB
「あさがくナビ」新卒者採用向けサイト、「Re就活」は日本初の第二新卒採用専門サイト、登録者の9割以上が20代の若手
イベント
「就職博」は日本最大の就職セミナーで来場学生数20人以上、参加企業4000社以上、「転職博」は20代向けの中途採用、転職希望者のイベントで即戦力に出会える。
Meet
その他、人材紹介サービスやインターンシップも事業モデルで兼ね備えている。
UTグループ(2146)
製造業人材派遣の大手、人材供給力の髙さから2018年3月期は過去最高益になる見込み。好調が続く半導体業界への人材派遣・請負では大手の同社、自動車産業などにも技術者を派遣開始。得意先にソニーセミコンダクタで安定収益を確保。
今3月には大阪市を拠点とするタイト・ワークの全株式を取得して子会社化、大阪、京都、兵庫県エリアの大手製造業を顧客とする。低賃金業務の対応として外国人技能実習制度活用等も検討。
スパークス投信では働き方改革関連で人材派遣と機械が追い風となるとみて、学情やUTグループに投資していると2017年3月31日付けの日本経済新聞朝刊21ページに掲載された。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 UTグループ(2146) 「BUY」 目標株価1600円
ファナック(6954)
働き方改革を実現するには、労働力不足の解消と長時間労働の是正、残業を無くすか減らすという大きな課題にぶつかる。そこで機関投資家は工場自動化(ファクトリーオートメーション)関連に恩恵があると期待している。
工作機械用NC(数値制御)装置世界トップ企業、産業用ロボット、小型マシニングセンタを得意とする。中国市場でスマホ製造、液晶ディスプレイ製造、建設機械、自動車製造など影響が一時期心配されたが、最近では回復基調にある様子。
iPhone 8 製造にロボドリル需要が高まるとの一部アナリスト報告、FA関連銘柄(ファクトリー・オートメーション)の代表格。野村證券は1月にファナック目標株価を19000円→24000円に引き上げ、メリルリンチ証券は3月にファナック目標株価27500円とレポートを出したことが話題となった。
国内トップ証券アナリスト、ファナック目標株価19000円→24000円
メリルリンチ証券、ファナック新規「買い」、キーエンス新規「アンダーパフォーム」